紅茶を浸したマドレーヌを一切れ口にするだけで 過去の出来事が鮮やかに脳裏に蘇るなんてのは 小説の中だけの話だと思っていた。「へぇ、沖縄のお菓子？」 「Yeah、美味しいから食べてみてよ」そうミックはカウンターに箱を差し出した。 中にはギザギザとし…

前後へと滑るように動くもっこりヒップ ソファの背もたれの向こうに、それだけが まるで水面から浮かび上がったかのように揺れていた。 いつものようにリビングで“芸術鑑賞”に耽る昼下がり おかげで掃除機の轟音も耳に入らないほど 夢中になってしまっていた…

一仕事片づけて、次の依頼をあくせく探す必要の無い昼下がり いつものようにリビングのソファに横になりながら ぼんやりと紫煙をくゆらす。 持ち手を除いてたっぷりと灰にすると その「吸い殻」と化した煙草を灰皿に押しつける。 そして次の一本をと、ポケッ…