2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

Top of the World

サプライズでどこかに連れ出すのはたいてい俺の役目だ。 普段出不精であまり新宿の外に出ない上に(そもそも外に出る必要がない) あまりパートナー孝行めいたことをしてこなかった分 たまの不意打ちでもあいつは充分喜んでくれたりする。 こういうときは自…

シティーハンターの敵

16:41 ターゲットを確認「じゃーねー」 「See you tomorrow!ってシュウヤ、 何でお前が帰りも一緒なんだよ!」 「しょーがねーだろ、最近二人とも忙しいんだから」校門で同級生と別れる。 女子生徒一人と一緒に新宿駅方面へと向かう。 ターゲットの自宅は…

out of sight

ここCat's Eyeは純然たる喫茶店で夜の営業はやっていないけれど 何事も例外というものはある。ただし貸切なのだけれど。 男どもときたら――うちのファルコンは別だけど―― とかくパートナーを放っといて夜の街で羽を伸ばしたがる。 女だってこの世知辛い世の中…

女子力のカケラ

女の子は砂糖菓子で出来ている、なんて言葉がある。 確かに、あんこが嫌いな娘はいても 甘いケーキが好きじゃないという女子にはお目にかかったことはない。 もっとも、それは私の狭い交友範囲内に限ってのことだから そうといっても総ての女の子は甘いもの…

水道の水が不味かった頃

美味しいお菓子を頂いたからと、美樹さんと一緒に かずえさんのところに呼ばれたときのこと。 リビングはうちと同じように、Mick Angel Officeの応接間と兼用だった。「じゃあ好きなところに掛けてて。今コーヒー淹れるから」喫茶店のママに出すのも恥ずかし…

【R15】こんな雨の日

とかく雨の日というものは、テンションが上がらない。 香の誕生日は過ぎたものの、この時期は特に 『花散らし』『花腐し』などと風流な名の雨が降る。 その名のとおり、儚い桜の花びらは しとしとと降り続く雨に散ってしまうだろう。 まだ、春の嵐と言わんば…

at stated period

喫茶店の主なんてものは、三度の飯よりコーヒーが好きなものだと思っていた。 豆のブレンドがどうの、焙煎がどうのと誰もが一家言あるのだから。 なので、客といっても私しかいない昼下がり カウンターの奥で彼女が、普段使いのカップに ティーカップから何…

家内安全

「やっぱり車で来た方がよかったかしら……」キャリーケースが砂利の上を転がるたびに立てる 文字どおりじゃりじゃりという音が 神域の静寂を破っていることは百も承知だ。 だが、車で来るにしてもどうせ一人旅 ハンドルを握るのは当然私しかいない。 それも、…

All the Perfume of Arabia

「リョオ!ちょっと、これ何?」もうそろそろ真夜中といってもいい頃、なんて俺が言える義理でもないが あいつにしては珍しく時間をわきまえずに大声を立てた。「何って、ジーパンだけど」すっとぼける。「判ってるわよ、そんなの。あたしが訊きたいのは――」…