2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【63/hundred】ひとづてならで

いまはただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがなアスファルトを叩くように降りしきる雨が 血の跡を洗い流していく。 こんな嵐の夜ではなかったら、きっと ヘンゼルとグレーテルのパン屑のように 地面に残る赤黒い染みを追っていけば 容易に…

【72/hundred】たたずもあらなむ

高砂の をのへの桜 咲きにけり 外山のかすみ たたずもあらなむ見上げれば桜の花が満開を迎えようとしていた。 見慣れたソメイヨシノよりやや小ぶりのその花は 花弁の端に行くにしたがって、グラデーションのように 淡い薄紅が次第に濃さを帯びてくる。その様…

Groom's Blue

ニワトリが先か卵が先かという喩えがあるが 言葉に関して言えば、その言葉が指し示す 物なり現象なりが先にあって 後追いでその名がつけられる というのがほとんどだろう。なので「マリッジブルー」という言葉が生まれる以前から 結婚を前にした男女はあれこ…