2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

1995.5/ファースト・コンタクト

これは純粋に自分のエゴだったのかもしれない。 香に子供が生まれるのに合わせて育児休暇を取った 当然、自分の子でないにもかかわらず。 自分の息子の世話も妹に任せきりだったのだ。 いくら彼女にとって可愛い甥であっても 初めての我が子だ、しばらくは水…

嘆き

愛せらるるは薔薇の花 愛することは薔薇の棘……たった4行しかない一編に目がとまった。 古びて紙も色褪せ、めくるたびに指先の脂が 吸われていきそうな古い詩集。 「勉強部屋」の書棚から見つけたものだった。あいつが求めて手に入れたのか 人から貰ったもの…

黄色いバナナの黒歴史

「あっ、安いじゃない」とスーパーの野菜・果物売り場で 手に取ったのは1房のバナナ。 我が家には家でごろごろしては しじゅう腹が減ったとのたまわく穀潰しがいる。 でもバナナだったらけっこう腹持ちがいいので 小腹程度だったら充分満たせるはず、と 見…

健康のために死ねますか?

「はぁ、どうしたものかしら」溜息。手には一枚の紙切れ。 目の前には昼間っからソファに寝転んで のんびりくつろぐ我が家の宿六。久しぶりに教授のところに顔を出し ついでにかずえさんと話し込んでるうちに 「ああ、そういえば」と手渡されたのだ。 撩とあ…

ファースト・バイト

なんてもん、いつから日本でやり始めたんだ? あの悪名高き「ほぼ発泡スチロールのウェディングケーキ」は 式場から姿をほぼ消したものの、それに代わる見せ場として この欧米生まれの風習がこっちでも定着しつつあった。 だが「花嫁を一生食うに困らせない…

パートナー辞めますか、恋人辞めますか

依頼人が撩に惚れてしまうのは日常茶飯事だ というか、そうならなかったケースの方を 数え上げていった方が簡単なくらい。 だからいちいち目くじらを立てていたら 神経がいくらあっても足りたものではないし 人間、慣れというのは恐ろしいもので 彼女たちの…