2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧
「もぉ、しっつこいわねぇ!」と、今日ももっこりちゃんとのキスを夢見たはずが なぜか固いアスファルトとキスする羽目になるばかり。 にしてもバッグのラリアットってのは反則でないかい? あの大きさから衝撃は予想できたが、実際はそれ以上だった いった…
「……どうしたの、撩?」なんてあいつが怪訝な顔をして訊いてくるのも当然だ。 部屋に入ってくるなり、半ば力の抜けたように どっかりとソファに沈み込み、虚ろな眼をして紫煙を まるで溜め息でもつくように吐き出したのだから。 咥え煙草のままグラスのバー…
完璧に寝過ごした。 おそらく寝ぼけ眼で目覚ましを見たときに 1時間前と勘違いしたのだ。 それだったら朝食もとって身支度を整えてから 余裕を持って部屋を出ることができたはずだ。 ああ、それに今日は洗濯器を回す日だ。 なのに、あと20分で出かけなけれ…
この人がここに来るのは珍しいことだった。 いや、用も無いのに来るのはしばしばで そのたびに教授と他愛ない『男子トーク』を繰り広げていた。 けれども、この人が‘用があって’来るのは意外だった。 年に一度の健康診断くらいここでいいからちゃんと受けな…
ずっと、小さい頃からその背中を追いかけ続けていた 実の父よりも近い存在として。 もっとも、元総監の祖父の覚えめでたき 一部からの憎まれようも評価の裏返しの 押しも押されぬ特捜課の名刑事である父よりは 「街の顔役に毛が生えた程度」の叔父の方が ま…
この時期――あたしの誕生日前後は 「花曇り」だの「花冷え」だの「花散らしの雨」だの 天気の不安定さを表した季語ばかりが辞書に並ぶけれども 今日はとりわけ「春の嵐」だ。 昨日からの雨にさらに強風まで加わって 何も無ければ外に出たくないといった空模様…